第26章

田中尚哉と大島莉理がダンスフロアへ歩み出ると、二人は自然に抱き合い、そのまま寄り添って踊り始めた。

加藤柚奈は視線を落とし、指先がワイングラスの細い脚を折りそうになる。

――目障り。

「一曲、いかがですか」

その声に加藤柚奈が顔を上げる。目の前にいたのは、田中尚哉に劣らぬ端正な顔立ちの男だった。

「田中……田中社長……」

田中辰哉は淡々と彼女を見下ろす。

加藤柚奈の胸がどくん、と跳ねた。恋だなんて、とんでもない。田中辰哉に色目を使う胆力はない。ただ、興奮していた。――この男に近づければ、いずれ田中尚哉と結ばれる道も、もっとスムーズになるはずだ。

だが、ダンスフロアに入った瞬間...

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